梅雨入りから6日、街は屋根の下にソフトクリームを2つ並べた
6月7日11時、気象庁が関東甲信の梅雨入りを発表した。それから6日後、最初の土日が来た。 雨予報のはざまで、街は屋根の下に新しい一行を2つ書き加えていた。コーンの上の夏の始まりが、駅前の住所と奥沢6丁目に、ほぼ同時に置かれている。
梅雨入りから6日後、最初の土日が来た
6月7日11時、気象庁が「関東甲信地方が梅雨入りしたとみられる」と発表した。平年並み、と短い但し書きが添えられている。平年の梅雨明けは7月19日ごろ — ということは、これから1ヶ月強、街は雨の暦の下に入る。
その宣言から数えて6日目に、最初の土日が来る。今日6月13日と明日14日だ。雨が来てから初めて迎える街の連休、と言ってもいい。
不思議なことに、この6日間で街には「新しく屋根の下に並んだ夏のはじまり」が2つ生まれていた。両方ともソフトクリームで、両方とも雨の日でも傘の外に出ない距離にある。梅雨入り宣言と、ほぼ同じ呼吸で街に着地した夏の選択肢、という言い方もできる。
6月13日と14日、気象庁の予報
6月13日の東京地方は、晴れ、夕方からくもり、所により昼過ぎから雨で雷を伴う、南風やや強く。 6月14日は、くもり、昼前から夕方は晴れ、所により昼過ぎから雨で雷を伴う。最低気温18度、日中の上限23度。降水確率は正午と18時がともに20%。
「所により」が両日とも保持されているのが、梅雨の予報の特徴だ。空全体が雨になるわけではないが、どこかで降る可能性は消えない。気象暦の上で「梅雨入り後」と書かれた最初の土日は、まずこういう形をしている。
屋根の下に置かれた、夏のはじまり (1) — BAKE the SHOP 自由が丘店
最初の一行は、駅前。BAKE the SHOP 自由が丘店 (自由が丘1) に、6月11日から夏限定のソフトクリームスタンプラリーが置かれている。期間は9月14日まで、ただし「専用スタンプカードが無くなり次第終了」とただし書きが付く。
対象は3種。レギュラー (6.5巻き) 550円、スモール (3.5巻き) 470円、ダブルチーズ (3.5巻き) 570円。すべて北海道産クリーム。スモールとレギュラーはコーンかカップから選べて、ダブルチーズはカップのみ。
ルールはシンプルだった。対象商品を1つ買うとスタンプが1個。5つ集めると「ベイク THE ソフトクリーム スモール」が1つ進呈される。営業は11時から20時。
この場所の出自と、ダブルチーズに乗るチェダーとグラナの話は、今日11時に出した単独記事「12年続いた住所が、その出自を夏のコーンに翻訳した」に書いた。本稿では、梅雨入りから6日後の土日の動線の中で、駅前のひとつの目印として記録しておく。雨が降っても駅前徒歩圏で完結する、という編集視点で。
屋根の下に置かれた、夏のはじまり (2) — Magie du Chocolat (奥沢6丁目)
二行目は、奥沢6丁目。奥沢6-33-14、自由が丘駅から徒歩3分のショコラトリー MAGIE DU CHOCOLAT 自由が丘本店が、6月8日から店内でオリジナルソフトクリームを並べ始めた。
梅雨入り宣言の翌日、というタイミング。3種 (ミルクチョコレート / ビターチョコレート / ミックス) はすべて本店限定で、店内には Bean to Bar の工房が併設されている。オーナーシェフは松室和海さん。
詳細は、6月9日公開の記事「6月8日、奥沢のショコラトリーがソフトクリームを店に並べた」に書いてある。本稿では、奥沢の屋根の下に夏が一行加わった、という事実だけを記録する。
駅前 (BAKE the SHOP)、駅から徒歩3分 (Magie du Chocolat 自由が丘本店)。この2点が、梅雨入り後の最初の土日に、屋根の下に置かれた夏の入り口になっている。
6月6日からつながっている目印たち
ここから先は、1週間前の記事 (「芒種、駅前の若鮎から奥沢5丁目まで」) で書いた4つの目印のうち、今日も街に立っている3つに軽く触れておく。芒種フレームから気象暦フレームへ、暦の章は変わったけれど、店先の並びは続いている。
駅前 (自由が丘2) の亀屋万年堂 自由が丘総本店では、若鮎が並び続けている。6月1日から7月中旬まで、1個183円。北海道産小豆を山梨県北杜市白州の「白州名水」で炊いたこしあん、求肥で包んで焼皮で巻き、手作業で顔と尾の焼き印。6月のアユ釣り解禁の時期に重なる季節の和菓子だ。
奥沢5丁目の katakana 自由が丘店では、家族でモンペ展が7月16日まで続いている。久留米絣のもんぺ74種類 (うなぎの寝床定番58種 + katakana 別注16種)、ファーマーズもんぺと現代風もんぺが14,850円〜、S/M/L の3サイズ。店主の言葉として記事に引かれていたのは「風が抜けることで熱がこもりにくく、暑い日本の夏を快適に過ごすための知恵が詰まっている」。梅雨明けの先を見越した選択肢として、今日もこの店先に並んでいる。
同じ奥沢5丁目の BASIC AND ACCENT 自由が丘では、Letra のメルカドバッグ展が6月21日まで続いている。会期17日間のうち、終了まで残り8日。約18型・約130点、メキシコ・オアハカ起源のメルカドバッグ。期間の終わりは夏至 (6月21日頃) にあたる。
3つの継続シグナルは、梅雨入り宣言の前から街に並んでいた。気象暦の章が変わっても、ここで終わるわけではない。雨が来てから初めての土日に、それらが「まだ立っている」事実だけ、記録しておく。
「梅雨入り後の最初」という時間のかたち
「最初の土日」という言い方は、暦の上の意味が強い。梅雨入り後、二度目、三度目の土日はあと数週間で次々に来るし、そのたびに街の景色は少しずつ変わっていくはずだ。
ただ、最初だけは別の重みがある。雨の暦の下で街がどう動くか、最初の小さな観察データが、この土日に置かれる。新しく屋根の下に並んだソフトクリーム2つは、その小さな観察データの記号として、たまたまよく見える場所に立っている。
平年の梅雨明けは7月19日ごろ、と気象庁の表に書いてある。梅雨入りから42日。夏至 (6月21日頃) は、梅雨入りから14日目 — まだ前半1/3にあたる位置で、梅雨明け予想までは約4週間を残している。Letra のポップアップが終わる頃に、街の暦は次の節目を迎える。
次の土日、夏至の頃にもう一度
夏至の頃に、街の景色はどう変わっているか。
若鮎は7月中旬まで続くから、まだ並んでいる。モンペ展は7月16日までだから、夏至の頃はまだ展示中。Letra は6月21日で終わるから、夏至の週末でちょうど見納めになる。一方で、BAKE のソフトクリーム5個目のスタンプを集め終えた人が街にちらほら現れ始める時期にあたる。Magie du Chocolat のカウンターでは、ミルクとビターのどちらを選ぶかで迷う人が、6月13日より少し慣れた表情をしている — そんな2週間後の景色を想像しておく。
梅雨入りから6日目の土日に屋根の下に並んだ2つの夏は、夏至の頃にどんな景色になっているか — 次の節目に同じルートをもう一度歩いて、確かめにいこうと思っている。