マルシェの裏側で、街は5月に更新されていた
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街並み 読 2分

マルシェの裏側で、街は5月に更新されていた

4つの商店会が一斉にマルシェを開く週末。その動線から少し外れたところで、5月の自由が丘には3つの新しい場所がそっと加わっていた。そして月曜には、初夏の和菓子が並びはじめる。

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賑わいの隣で、街は別の時計で動く

今日と明日、自由が丘の4つの商店会が同じ週末にマルシェを開いている。南口、駅前中央、広小路、ひかり街 — それぞれの広場と通りに、春のマリクレール、THE J マルシェ、石巻ブース、ひかりハンズの旗が立つ。晴れ、朝晩くもり、南の風が日中やや強く吹くという土曜だ。

ただ、その動線から少しだけ外れて歩いてみると、街には別のリズムで進んでいることがある。お祭りの音に紛れて見過ごされがちな、けれど6月以降の街の風景に関わってくる、3つの場所だ。

南口を出てすぐ、白い店が増えていた

東急東横線と大井町線の南口を出る。マルシェの人の流れがそちらに向かう前に、改札の真正面に近いほう、自由が丘マイセンビルの1階に視線を向けてみる。NEHAN TOKYO 自由が丘店。今月の上旬に移ってきた店だ。

恵比寿にあった店が3月26日に閉店し、こちらへ移転してくることが告知されていた。エプソムソルトを軸にしたウェルネスのブランドで、バスソルトやバスボム、ボディケアを並べる。表参道、有楽町、それから期間限定の日本橋に直営店があり、その並びに自由が丘が加わった形になる。

営業は11時から20時、定休は第三水曜日。Uber Eats のデリバリーにも対応する。マルシェの音が遠くに聞こえる店内で、自分のための入浴剤をひとつ選んで帰る — 週末をそう使うこともできる。家族で連れ立って広場を回ったあと、一人だけ抜けて立ち寄る。あるいは平日の夕方、香りを選びにくる時間もある。

人の波から数歩外れた場所に、こうした店が増えていく。それは街にとって、ひとつの確かな変化だ。

すずかけ通り、43年の暖簾が変わった

南口を出てそのまま少し歩くと、すずかけ通り (グリーンロード) に出る。徒歩4分、緑が丘2-16-18の芝原ビル1階。5月24日に、鮨喜へいという店が開いた。

ここはもともと「すしの浜長」だった場所だ。43年続いた店で、2月末に閉まった。その跡地に、新しい鮨の店が入った。

店主は松下耕平さん。中目黒の「鮨 おにかい」出身、姉妹店の「鮨 つきうだ」では2番手を務めていた人だ。豊洲から毎日仕入れる旬のネタを使い、銀座クオリティの鮨をリーズナブルに、というのが店のコンセプトに掲げられている。

メニューはおまかせコース11,000円 (税込)、それから後半の会のみショートコース6,000円という構成。ショートは追加のアラカルトもできる。座席はカウンター8席と個室。子ども連れも事前連絡で受け入れる。

11,000円のおまかせコースは、二人で訪れる夜の選択肢になる。6,000円のショートは、一人でカウンターに座る使い方もできる。43年の暖簾がいったん下りた場所で、また誰かが鮨を握りはじめている — その事実が、すずかけ通りに加わった。

明後日、月曜から並ぶ和菓子のこと

南口に戻り、自由が丘2丁目の総本店のほうへ。亀屋万年堂が、6月1日から「若あゆ」を出す。期間限定で7月中旬まで。価格は183円。

清流を泳ぐ若アユの姿をかたどった季節の和菓子で、6月のアユ釣り解禁に合わせた初夏の菓子だ。北海道産の小豆を、山梨県北杜市白州の天然水 — いわゆる「白州名水」で炊いたこしあん。それを求肥でくるみ、アユ型に焼いた皮で包む。顔と尾の焼き印は、手作業で入れている。

明後日からだ。今日と明日の催しが終わって、月曜の朝になれば、総本店のショーケースに若あゆが並んでいる。家族の食卓に、夕食のあとの一個として、あるいは初夏の挨拶代わりの手土産として。183円は、立ち寄りやすい価格帯にある。

6月のアユ釣り解禁を起点にした和菓子、という構造そのものが、季節と街の関係を示している。和菓子屋の棚に、まだ見ぬ川の季節が映る。

3つの場所と、6月の出だし

NEHAN TOKYO、鮨喜へい、若あゆ。値段帯も使い方もまるで違う3つだけれど、5月の終わりから6月の始まりにかけて、自由が丘に静かに加わるものとして並べると、街の表情が少しだけ立体的に見える。

マルシェの賑わいが今夜と明日で終わったあと、街は月曜からまた普段の顔に戻る。そのとき、南口の白い店と、すずかけ通りのカウンター8席と、総本店のショーケースに並ぶ若あゆが、先週まではなかった景色として残る。

6月の自由が丘は、その3つの場所を含んだ街として始まる。