5月29日から74柄が降りている — カタカナ、奥沢5丁目の初夏
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記録 奥沢5-20-21 第一ワチビル1階 読 2分

5月29日から74柄が降りている — カタカナ、奥沢5丁目の初夏

奥沢5丁目の角、第一ワチビル1階。5月29日から、棚にもんぺが降りている。 定番58柄、別注チェック16柄、合わせて74柄。今日で会期27日目。

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棚に降りている74柄

駅南口から歩いて3〜4分、奥沢5丁目の角を曲がる。第一ワチビルの1階、たわしや靴下、革財布、アクセサリー、キッチン用品が並ぶ店内の一角に、いま74柄のもんぺが降りている。

定番58柄に、katakana 別注のチェック柄が16柄。合わせて74。「家族でモンペ展」と名付けられたこの企画は、5月29日から7月16日まで開かれている。今日は6月24日、会期27日目。残り22日。

形は2種類ある。本来のもんぺ型をベースにしたゆったり型の「ファーマーズもんぺ」と、すっきりしたシルエットで動きやすい「現代風もんぺ」。価格はどちらも1万4,850円から。サイズはS (ウエスト64〜96cm)、M (65〜102cm)、L (68〜108cm) の3展開。

店主の河野純一さんは自由が丘経済新聞の取材で、選び方について「普段の洋服と同じように着こなせる柄」を選定したと話している。「昨年好評だったチェック柄を今年は充実させた」とも。74という数字は、昨年の手応えの上に16柄が積み上がった数だ。

もんぺという衣服

久留米絣は、福岡県南部の筑後地方で江戸時代から200年以上織られてきた。

もんぺは、その久留米絣を使って農作業や家事のために仕立てられてきた衣服だ。腰回りにゆとりがあり、足首がすぼまる。しゃがんでも、立ち上がっても、布が動きを邪魔しない。

棚の前で1柄ずつ目で追っていくと、藍の濃淡だけでも何段階もある。チェックの大きさ、間隔、色の重ね方。74柄を並べてみるという企画の意味が、棚の前に立つとわかる。1柄ずつ見ていけば、200年分の手の動きが、ほんの少しずつ違う形で残っている。

16年前の曲げわっぱ

このお店ができたのは2010年10月10日。今年で16年目に入っている。

河野さんは日本仕事百貨の取材 (2021年) で、アパレル会社に勤めていた頃から「いつか洋服店を開きたい」と考えていたと語っている。方向が変わったきっかけは、奥さんの闘病中の出来事だったという。秋田の曲げわっぱに出会い、味覚を失っていた奥さんがその弁当箱に詰めたお弁当を「おいしい」と食べきった。

日本の伝統工芸が、人の感覚に届く。そのことを身をもって知った、と河野さんは振り返る。海外の友人たちが日本製品をほめてくれたことも後押しになった。同じ取材で河野さんは「このお店をどうしていきたいのか真剣に考えたとき、目的地になるようなお店にしようって決めました」「この店に根が生えた」と話している。

その「根が生えた」場所が、奥沢5丁目のここだ。

店の選定基準について河野さんは「つくった人がいて、その人がつくるものがあって」とも語っている。74柄のもんぺも、その基準の上に並んでいる。福岡県南部の筑後地方で、200年続いてきた手の動きの先に、いま棚の柄がある。

奥沢5丁目の角

カタカナは2014年に株式会社タンケン社として法人化され、いまは自由が丘の本店に加えて「katakana shin」、オンラインストアの3拠点で運営されている。昨年10月10日には15周年を祝う「大九州展」が開かれ、40ブランド以上が集まった。

その15周年から数えて、今年で16年目。もんぺ展の会期は7月16日まで。

棚に降りている74柄は、200年の絣の上に、16年の店の上に、そして7週間の会期の上に、いま一緒に並んでいる。今日で27日目。残りは22日。

奥沢5丁目の角に、もう16回目の初夏が降りている。第一ワチビル1階の灯りは、もうしばらくこの通りに点っている。