学園通りに宝石箱がひとつ、21年 — フローリスト シャール フラマンという扉
学園通りを歩いていて、住宅と店が混じる並びの一軒家。看板は控えめで、扉の向こうには花のためだけに用意された部屋がある。2005年から21年、パリ帰りのフローリストが自由が丘2丁目で続けているアトリエ。
学園通りを歩いていて、扉に気づく
自由が丘駅の正面口を出て、学園通りに入る。住宅と小さな店が混じり合う並びを、5分ほど歩く。
角を数えていくと、一軒家がひとつ、通りに面して立っている。看板は目立たない。扉の向こうから、花の気配だけが漏れている。
Fleuriste Charles Froment、と静かに記されている。
部屋の壁に、絵画が掛かっている
花コンシェルの紹介ページには、この一軒家の内装について、アーティスト Romain Erkiletlian が「宝石箱」をコンセプトにデザインした、と書かれている。壁には絵画が配置されている、とも。
パリスタイル、と花コンシェルの紹介文にある。店頭で花を並べて売る形式ではなく、部屋そのものが花のためだけに用意された空間になっている。
2005年、パリから戻って自由が丘へ
オーナーの和泉淑子さんが、この場所にアトリエを開いたのは2005年。
公式サイトによれば、和泉さんは1998年から花業界に入り、2002年にパリへ渡り、現地の2社で研修を積んだ。帰国後、選ばれたのが自由が丘2丁目のこの一軒家だった。以来21年、パリで身につけたスタイルを、学園通りの一角で続けている。
「ギフトフラワーは常に贅沢でありたい」と公式サイトのコンセプト文にある。贅沢という言葉は、価格の意味ではなく、時間の意味で書かれているように読める。
フルオーダーメイド、という手順
ここのギフトフラワーは、予約を受けてから始まる。
予約 → デザイン → 仕入れ → 制作 → お届け。公式サイトはこの5つを順に並べている。既製の花束を棚から取るのではなく、贈る相手や場面に合わせて、その日ごとにデザインが起きる。花コンシェルの紹介にも「完全予約制」で「店頭販売は行っていない」と書かれている。
つまり、扉をふらりと引くための場所ではない。時間をかけるための場所だ。学園通りに面していながら、通りの速度からは切り離されている。
なぜこの区画に、花のための一室が残るのか
住宅と小さな店が混じり合う並び。その中に、花のためだけに用意された一軒家が挟まっている。駅からも離れすぎず、通りの速度に飲み込まれもしない距離。
学園通りに面した一軒家、というのが位置の一番短い説明になる。詳しい住所・営業時間・定休日は記事冒頭の概要にまとめてある。
通りの速度から離れた一室
学園通りには、住宅と小さな店が交互に並んでいる。速く歩けば数分で通り過ぎてしまう区画に、花のためだけに時間を使う一室が21年、佇み続けている。
宝石箱、というコンセプトの言葉が、扉の向こうの部屋にどう現れているかは、注文して花を受け取る人だけが知ることになる。
教えたい気持ちと、教えたくない気持ちが、半分ずつ。学園通りをまた歩く日、宝石箱の扉が、少しだけ長く目に残る。