自由が丘発祥の繭が、1956 年から棚に並んでいる — 蜂の家本店
駅から徒歩 1 分。自由が丘 2-10-6 の店に、繭の形をした 5 色の最中が並んでいる。 1956 年から、この棚は続いている。
駅から、ほぼまっすぐ
自由が丘駅 (東急東横線・大井町線) から徒歩 1 分。 自由が丘 2-10-6 の店に、繭の形をした最中が、5 色並んでいる。
蜂の家。1956 年から、この場所にある。
5 色の餡
繭は、絹のためのかたちだ。 戦後復興期、日本の特産品であった絹に思いを託して作られた、と号外NETの記事にある。 まゆ最中、と書かれた木箱の蓋を開けると、繭が 5 色並んでいる。 小倉、胡麻、白つぶし、柚子、黒糖。
5 色。順位のための数ではない、という気がする。 家に持ち帰って、誰がどの色から手を伸ばすか。それを見届けるところまで含めて、この和菓子の時間。
棚の入れ替わり
季節になると、棚の真ん中が入れ替わる。 夏絹、すずかぜ、蝉しぐれ。季節ごとに、棚の景色が変わる。
振興組合の店舗紹介には「毎日熟練の職人が丹念に練り上げた餡」とある。 毎日、という言葉がたぶん効いている。 特別な一日のためではなく、ただ続いていく仕事として、餡が炊かれている。
朝のうちに作られた生菓子も、同じ店内に並んでいる。 朝、餡を炊く時間と、生菓子を仕上げる時間が、ひとつの間口に同居している。 1956 年から、その朝が続いている、ということになる。
手土産の単位
まゆ最中の隣には、お詰合せが並んでいる。花、遊、宴、吟。 手土産の場面に合わせて、組み合わせを選べる単位が用意されている。
蜂の家は、めぐろ観光まちづくり協会の「めぐろ土産」に選定されている、と号外NETの記事にある。 派手に語られる店ではない。けれど、街の手土産として、選ばれる場所として残っている。
手土産を持って人を訪ねる日。お茶請けを切らした日。 ふだんの暮らしの中で、繭がひと箱ぶん、ちょうどよく収まる。
繭のかたちで、来週も
繭は、糸を紡ぐ前のかたち。 1956 年から、ここで糸が紡がれ続けている、ということでもある。
教えたい気持ちと、教えたくない気持ちが、半分ずつ。 急ぐ用事ではない。来週も、たぶん同じ間口に、5 色が並んでいる。